「エル坊。シュートを決めた感触はどうじゃった?」
問いかけた祖父にエルニィはふんと鼻を鳴らす。
「……悪くないね」
「そうか」
斜陽がビル群を照らし出す。陽が落ちれば、いつものように日常は終わる。いつものように、とエルニィは心の奥底で繰り返した。
しかし、常ではないものがある。
それが知らぬ間に分かっている。分かってしまっていた。
「あのさ、じーちゃん……」
言いかけて口を噤んでしまう。祖父はサッカーボールを頭に乗せたまま、悠々と歩みを進めた。
「何だ? エル坊」
「いや、その……」
ページ: 1 2