JINKI 237 もっと強さと願いを

「……広世。私、知らなくっちゃ。聞かなくっちゃいけないの。フィリプスさんに、今回、亡くなった人たちのことも」

「……そこまで背負えなんて誰も言わない。けれど、青葉が知りたいって言うんなら、多分フィリプス隊長は教えてくれると思う。……けれどさ」

 振り返った広世に、青葉は顔を見せられなかった。

 涙に濡れた今の自分を、誇ることはできなかったから。

「……きっと、もっと強くなる……! 強くなって……今日救えなかった人たちを、救えるように……!」

「……そうか。そうだよな。青葉は……そうだよ」

 広世が《ギデオントウジャ》へと戻ってから、静かに撤退が告げられていた。

 ここに居座ることも、一秒とてできない。

 既にヒトの介在を拒む、呪詛の大地だ。

 それでも、青葉は最後の最後に、リバウンド兵装で焼け爛れた土地へと言い置いていた。

「……きっと、また強くなる。……強くなって……取り戻しに来るから。だから……」

 泣くことを、今だけは許して欲しい。

 そう願って、青葉は踵を返していた。

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