「……広世。私、知らなくっちゃ。聞かなくっちゃいけないの。フィリプスさんに、今回、亡くなった人たちのことも」
「……そこまで背負えなんて誰も言わない。けれど、青葉が知りたいって言うんなら、多分フィリプス隊長は教えてくれると思う。……けれどさ」
振り返った広世に、青葉は顔を見せられなかった。
涙に濡れた今の自分を、誇ることはできなかったから。
「……きっと、もっと強くなる……! 強くなって……今日救えなかった人たちを、救えるように……!」
「……そうか。そうだよな。青葉は……そうだよ」
広世が《ギデオントウジャ》へと戻ってから、静かに撤退が告げられていた。
ここに居座ることも、一秒とてできない。
既にヒトの介在を拒む、呪詛の大地だ。
それでも、青葉は最後の最後に、リバウンド兵装で焼け爛れた土地へと言い置いていた。
「……きっと、また強くなる。……強くなって……取り戻しに来るから。だから……」
泣くことを、今だけは許して欲しい。
そう願って、青葉は踵を返していた。