「あれ? ルイさん、何をしていらっしゃるんですか?」 さつきが洗濯物を干しているすぐ傍で、どうしてなのだかルイはタンポポを引き千切っていた。 「さつき……? 何だって今なのよ……」
投稿者アーカイブ:綱島志朗公式サイト管理人
レイカル45 5月 それぞれの母の日に
「これを選んでやると、さしもの奴とは言え、喜ぶのではないかのう」 「ふむふむ……参考になります」 道を歩いていると、不意に見知った声が聞こえてきて、小夜は振り返っていた。
JINKI 213 アンヘルのチャット同盟
「えーっと、電話回線をこっちで繋いでーっと。柊神社の電話回線ってどうだっけ?」 「こっちよ、自称天才。確か赤緒がここに繋いでいたわ」 エルニィが電線をガイドしたところで、台所から菓子盆を持ってきたさつきが顔を合わせる。
JINKI 212 二人の相性の距離
「おめでとー! 二人の相性はバッチリ!」 神事を終えて柊神社に帰るなり、境内でエルニィの声が弾けて赤緒は顔を出していた。 そこには大仰なハートマークを付けた筐体が設置されており、初々しい男女二人組がお互いを見つめ合っ […]
JINKI 211 出会いのヨスガに
『青葉、そっちに三機行った。こっちではフィリプス隊長と一緒に古代人機を押さえておくから、《バーゴイル》の迎撃を頼む』 通信網より耳朶を打った広世の声に、青葉はジャングルに潜ませた《モリビト雷号》より、砲身を突き上げてい […]
JINKI 210 楽しみは別腹で
「これこれー。やっぱりカレーは炊き立てに限るよねぇ」 「……こんな時間に?」 夜半に境内から声が聞こえて来たので、赤緒は胡乱そうにすっと顔を向ける。
JINKI 209 ヒミツの関係
「さつき、今日の帰りは自称天才と一緒にザリガニ釣りに行くわよ」 久方ぶりに登校したルイにそう呼びかけられ、さつきは戸惑いを浮かべていた。 「えっと……何でザリガニ釣り……?」
レイカル44 4月 削里と花見酒
「風流なもんだ。こうして、外で将棋を打つなんて」 「しかし、真次郎殿。少し、無理なのでは?」 「無理なんて言うもんじゃないさ、ヒヒイロ。それとも、お前の盤面に不満でもあるのか?」
JINKI 208 思い出はきらめきの中に
「うーん……やっぱり、和菓子とかのほうがいいわよねぇ」 青葉は食堂で物色する背中を見つけて、そっと気配を殺して歩み寄る。 「とは言え、まともなのがないんだから。これも駄目ー、あれも駄目ーって感じで」 「あの……南さん? […]
JINKI 207 黒の女と果ての月明かり
交渉事は苦手だ、と矢面に立たされれば困惑もする。 とは言え、ここで宿を取らなければもう一週間近く、根無し草を続けていることになるので、ユズは思い切っていた。 「その……お金ならあります」