JINKI 250 少女が見た戦場、それから

 ――ジャングルの高空を突っ切っていくのは何も今に始まった感覚ではないが、僚機を伴わせての経験はあまりない。 『広世。現在、敵影は認められないが……。広世?』 「あ、ああ……うん。了解してるよ、フィリプス隊長。……けれど […]

JINKI 248 アンヘルの家事代行

「赤緒ー、こんくらいでいい?」 エルニィが窓を拭きながらそう尋ねてきたので、赤緒はしっかりと点検していた。「……駄目ですっ。まだ、埃が残っているじゃないですか。端っこのほう」「うえ……小姑みたいなことを言うなぁ、赤緒は。 […]

JINKI 245 アンヘルの太陽

「ねぇ、さーつきっ。雨はいつ降るのかなぁ?」 そんな益体のない言葉を吐いたエルニィに軒先でさつきは応じていた。「そうですねぇ……。ここ数日間は、晴れの予報ですけれど……」「えーっ! つまんないー! せっかく買ったのに、出 […]

JINKI 242 ささやかな思い出を綴って

 カポン、と音が遠く長く、残響する。 そう言えば、この時間帯に風呂に入るのは初めてであったか、と感傷が掠めたのも一瞬、隣で湯船に浸かるルイはこきりと肩を鳴らす。「酷い目に遭ったわね。……あんたのせいで」「わ、私のせいです […]