「それにしても、止みませんねぇ、雨」 そう言い置いた友次へと困惑気味にさつきは応じていた。 「ですねぇ……」
カテゴリーアーカイブ:JINKINobel/著 シチミ大使
JINKI 251 語られない功労者たちへ
白波が砕ける。 海域を行くのは漆黒の艦艇であった。 《ビッグナナツー》甲板上にて、声が弾ける。 『《空神ナナツーウェイフライトタイプ》は発進位置に。こちらの権限を譲渡します』
JINKI 250 少女が見た戦場、それから
――ジャングルの高空を突っ切っていくのは何も今に始まった感覚ではないが、僚機を伴わせての経験はあまりない。 『広世。現在、敵影は認められないが……。広世?』 「あ、ああ……うん。了解してるよ、フィリプス隊長。……けれど […]
JINKI 249 質と量と努力と
『いいー? 両者、見合って見合ってー!』 「た、立花さん。お相撲じゃないんですから……」 『えっ、違うの? うーん、って言ったって、お相撲みたいなもんじゃんか』 当惑するエルニィに赤緒は言いやる。
JINKI 248 アンヘルの家事代行
「赤緒ー、こんくらいでいい?」 エルニィが窓を拭きながらそう尋ねてきたので、赤緒はしっかりと点検していた。「……駄目ですっ。まだ、埃が残っているじゃないですか。端っこのほう」「うえ……小姑みたいなことを言うなぁ、赤緒は。 […]
JINKI 246 ひとひらの思い出に
「さぁーて、これくらいでちょうどいいかしらね」 「あれ? 南さん、何を集めているんですか?」 汗を拭った様子の南とルイは格納庫裏で示し合わせたように何かを籠に寄せ集めている。
JINKI 245 アンヘルの太陽
「ねぇ、さーつきっ。雨はいつ降るのかなぁ?」 そんな益体のない言葉を吐いたエルニィに軒先でさつきは応じていた。「そうですねぇ……。ここ数日間は、晴れの予報ですけれど……」「えーっ! つまんないー! せっかく買ったのに、出 […]
JINKI 244 カステラと思い出の味
「えっと……これって高いの? 安いの?」 大根を持ってきた南に、さつきは応じる。 「あ、それは特売品があったので、別のを使います」 「……そうなのね。分かんないもんだわ」
JINKI 243 プリンセス・メルJ
「それにしたって、妙なことも起きるものねぇ」 そうぼやいた南に、メルJはふんと鼻を鳴らす。「言っておくが、私がけしかけたんじゃないからな。そこのところは分かってくれ、黄坂南」
JINKI 242 ささやかな思い出を綴って
カポン、と音が遠く長く、残響する。 そう言えば、この時間帯に風呂に入るのは初めてであったか、と感傷が掠めたのも一瞬、隣で湯船に浸かるルイはこきりと肩を鳴らす。「酷い目に遭ったわね。……あんたのせいで」「わ、私のせいです […]