【13】「ヒトモドキ」 優れたソフトウェアはハードウェアを凌駕する――そうなのだと確信した加藤は無数に分裂した自我を取り戻していた。 「……人形使いと言うのは、なかなかに大変な代物だ」 「ですが、面白い視座でしょう? […]
カテゴリーアーカイブ:JINKINobel/著 シチミ大使
JINKI 301-12 憤怒と灼熱
【12】「憤怒と灼熱」 関西に入った辺りで、警戒網が強くなる様子はない――その段階で南はハンドルを握り締める。 「高速道路で一路、京都へってつもりだったけれど存外時間がかかるものねぇ」
JINKI 301-11 旅立ちと因縁と
【11】「旅立ちと因縁と」 一週間が経つのはあっという間で、赤緒は明日に迫った修学旅行を前にして荷物を詰め込んでいた。 「えっと……着替えよしっ。それとお金とかも、ちゃんと用意できたかな……。旅のしおりは、と……」
JINKI 301-10 紡いだ絆の証を
【10】「紡いだ絆の証を」 開発リソースは一番にあるはずなのだ、とエルニィは港に停泊する《ビッグナナツー》艦内で口にする。 「どうにかなんない? 《モリビト天号》の解析状況は……」
JINKI 301-9 笑顔の理由
【9】「笑顔の理由」 「あ、あの……」 夕飯時に柊神社の台所に顔を出した金枝に、さつきは少しだけ戸惑う。 「……ああ、えっと……三宮さんでしたっけ? まだ夕飯には少し早いですので、ちょっと待っていただければ」
JINKI 301-8 暗躍する影と、彼らの日々
【8】「暗躍する影と、彼らの日々」 「よっ。よかったなぁ、お前。あんだけ大事だったのに、もう退院だろ?」 両兵が橋の下のソファで寝そべっていると不意に声をかけられる。 瞼を上げると勝世が上着片手に顔を覗き込んでいた。
JINKI 301-7 訪れた日常と非日常
【7】「訪れた日常と非日常」 翌日にはもう学校に行けと言われても、赤緒にしてみればどこかふわふわとしていて現実感がない。 「……赤緒っ。どうしたのー? 何かいつもよりもぼーっとしちゃってさ」 「マキちゃん……。私、その […]
JINKI 301-6 空白の追想
【6】「空白の追想」 思い返すのは作り物めいた鳥籠の内側で、ふと天高くを舞う鳥をいつも目で追っていた。 枯山水の白い庭園。
JINKI 301-5 三宮金枝と言う名前
【5】「三宮金枝と言う名前」 「ホント――信じらんない! 何やってんのさ、両兵は!」 ある程度の話を聞き終える前にエルニィが唾を飛ばして追及する。
JINKI 301-4 恐怖は漆黒の影と共に
【4】「恐怖は漆黒の影と共に」 現地での接触は厳禁だと、そう言われていたことを揺蕩う意識の中で思い返す。 カプセルが開き、その意識を「引き継いだ」のを認証してから意識を取り戻していた。 「……前任者も急いだものだ」