JINKI 199 盆栽は誰のもの?

「よーっし、バッチこーい」  赤緒は柊神社の境内でバットを構えるエルニィと、ピッチャーを務めるルイを交互に見やってから呆れ返った声を出していた。 「……二人とも、駄目じゃないですか。境内で野球は許しません」

JINKI 198 赤緒の攻略法

「ルイー。これ、なーんだ!」  猫じゃらしを振っていたルイは駆け込んでくるなり、身で隠したエルニィの満面の笑みにむっとする。 「……アホ面」 「ボクのことじゃなくってさ! ……って言うか、ボクのことも馬鹿にしてない?」

JINKI 197 まっさらな笑顔のままで

「あっ、もう立花さん。何やってるんですか。暇してるんならお掃除とか手伝ってくださいよ」  赤緒が声をかけると、エルニィはしーっ、と言いやる。 「今にこれが完成するってところなんだから。ほら、あと一段で……」 「……トラン […]

JINKI 196 こんな星の夜にさえ

 ロストライフの戦場を駆け抜けるのに、肉体は想定以上に重石になる――それがはっきりと分かるのは、やはり生物全てを浄化せんとする黒い波動が空を満たしているからだろう。  鋼鉄の人機のコックピットに守られている操主とは言え、 […]

JINKI 195 私と映画を観に行って!

「うーん……あれがこれで……こうなって……」  夕食の席でどこか心ここに非ずと言った様子のエルニィへと、赤緒は尋ねていた。 「あの……どうしたんですか? 立花さん。何だか、帰って来てからずっと、こんな調子ですけれど……」

JINKI 193 夏空の思い出に

「ほらほら! 早く早く!」 「……急かさなくっても逃げはしないわよ」 「ふわぁ……あれ? こんな朝早くにお二人ともどこへ?」  欠伸を噛み殺した赤緒は早朝にもかかわらずどこかに出掛ける準備を整えているエルニィとルイを発見 […]

JINKI 192 アンヘルファッション合戦

「もうっ……立花さんってば放ったらかしにしてばっかり……片づけないと」  軒先から運ばれてくる風で寝転ぶエルニィに、赤緒はすっかり参った様子で片づけを始めていた。 「えっと……これは触っちゃ駄目だよね……立花さんのだし。 […]

JINKI 191 ライバルと言う関係

 タン、と足を弾ませたその時には、既に踏み込んでいる。  ルイの足並みはまるで流れるようにして、赤緒とさつきのガードをすり抜け、跳ね上がってダンクシュートを見舞っていた。  南が点数表を捲ってポイントを入れさせる。

JINKI 190 今宵、香りを纏って

 ふんふふーんと鼻歌混じりに《モリビト2号》のアイサイトを磨いていると、不意に声がかけられていた。 「青葉ー! こっちこっちー!」 「エルニィ? もう、どうしたのー? せっかくのお楽しみタイムだったのに……」