JINKI 239 届けたい明日のために

 空高くを鳥が羽ばたいている――と、益体のない意識に取られた一瞬後には乗り合わせた船が大きく揺れたのを感じ取っていた。 「……それにしても、こういった形で海を渡ることになるとは思いも寄りませんでした」  そう告げる相手へ […]

JINKI 238 さつきとクマのぬいぐるみ

「まったくもう……立花さんも片づけないんだから……」  居間のそこいらに散らかっているエルニィの発明品を慎重に片づけていると、ふと目に留まったのは――。 「うん? クマ……さん、のぬいぐるみだ、これ……」

JINKI 235 頼れる友に

 いつだって引き金を絞る際には、緊張が付き纏うものだ。  さつきは照準器の向こう側に佇むシミュレーターの仮想敵を見据え、何度か銃撃する。 「……一つ、二つ……」  自分でもリズムというものは取れて来たような気がするが、命 […]

JINKI 233 いい操主であること

「青葉ー。ちょっとそこんところのシステムの洗い出しするから、一旦モリビトから降りてくんない? 操主ありだと、ちょっとややこしいんだよね」  エルニィの声を受け、青葉は下操主席のシートベルトを外していた。 「あ、うん……。 […]

JINKI 231 二人だけの島で

「それにしたってよ……流れ流れて、にしちゃあ、もっとやりようはあったんじゃねぇの?」  ぼやいた両兵に対し、エルニィは《ブロッケントウジャ》の電算パーツを組み上げていた。 「文句言わないでよ。ボクだってこうなるなんて想定 […]

JINKI 230 交差する道も

 翻った黒い翼を、一機、また一機と撃墜していく。  漆黒の機影は大地を踏みしだき、袖口に仕込んでいたワイヤー装備で空を舞う《バーゴイル》を叩き落としていた。 「逃がさ……ない!」  アンカーが《バーゴイル》の飛翔を妨げ、 […]