JINKI 200 南米戦線 第六話 「帰還」

【6】「帰還」  抱えた体温は今にも消え入りそうで、両兵は声を張り上げていた。 「死ぬな! 青葉! ……クソッ! もっと早く動けよ! てめぇもナナツーだってンならな!」  嵐の夜だ。

JINKI 200 南米戦線 第二話 「激戦の後で」

【2】「激戦の後で」  本国からの増援は見込めそうにないことを、一人の士官が聞き留めたのをフィリプスは首肯して受け止める。 「カラカスは落ちた、か。いずれにしても、キョム一個小隊が今すぐに襲ってくるようなこともないだろう […]

JINKI 200 南米戦線 第一話「氷雨の夜に」

【1】「氷雨の夜に」 『――《モリビト2号》の血塊炉臨界試験を開始します。モニターには私、黄坂南が。操主は小河原両兵と柊赤緒両名によるものとします』  いつになく緊迫した南の声に上操主席に収まった赤緒は掌が汗ばんだのを感 […]

JINKI 199 盆栽は誰のもの?

「よーっし、バッチこーい」  赤緒は柊神社の境内でバットを構えるエルニィと、ピッチャーを務めるルイを交互に見やってから呆れ返った声を出していた。 「……二人とも、駄目じゃないですか。境内で野球は許しません」

JINKI 198 赤緒の攻略法

「ルイー。これ、なーんだ!」  猫じゃらしを振っていたルイは駆け込んでくるなり、身で隠したエルニィの満面の笑みにむっとする。 「……アホ面」 「ボクのことじゃなくってさ! ……って言うか、ボクのことも馬鹿にしてない?」

JINKI 197 まっさらな笑顔のままで

「あっ、もう立花さん。何やってるんですか。暇してるんならお掃除とか手伝ってくださいよ」  赤緒が声をかけると、エルニィはしーっ、と言いやる。 「今にこれが完成するってところなんだから。ほら、あと一段で……」 「……トラン […]

JINKI 196 こんな星の夜にさえ

 ロストライフの戦場を駆け抜けるのに、肉体は想定以上に重石になる――それがはっきりと分かるのは、やはり生物全てを浄化せんとする黒い波動が空を満たしているからだろう。  鋼鉄の人機のコックピットに守られている操主とは言え、 […]