JINKI 160 想いを綴って

「あれ? さつきちゃん、それってお世話になっていたって言う旅館への?」  赤緒が声をかけたのはさつきが書き綴っている手紙の書面を見かけたからであった。 「あ、はい。できるだけ毎日欠かさずに、私はアンヘルでお世話になってい […]

JINKI 159 メルJの理由

「ふわぁ……おはようございます、ヴァネットさん……」  欠伸混じりに部屋から降りてきた自分に対し、メルJはいつものように射撃訓練――かと思いきや、今日は何やら神妙な顔つきをしてテーブルの一角を睨んでいる。  何だかそれが […]

JINKI 158 声で届けられるもの

「ふわぁ……おはようございます、立花さん。ルイさん。……朝から何を?」 「しーっ。赤緒、今から始まるんだから、ちょっと黙っててよね」 「始まるって……日曜日ですよ、今日は。それなのに、お二人とも早くから目を覚まされて…… […]

JINKI 156 誇りある職務を

『――ご覧ください! これが彼の――アルベリッヒレインです!』  その言葉と共に標的へと重火力が撃ち抜いていく。  肩口にガトリングガン、そして胸部には二門のプレッシャー兵装、その手に携えたアサルトライフル――どれを取っ […]

JINKI 154 うららかな春のお茶日和に

「うーん……ここんところをこうして……んで、ここがこうなって……」  エルニィは回路を繋ぎつつ、後頭部を掻いていると、不意に鼻孔に芳しいにおいが漂ってきて部屋から飛び出す。 「なになにー! なに美味しそうな匂いさせている […]

JINKI 153 ドキュメンタリーを撮ろう

『……今日もアンヘルの朝は早い。起き掛けの間抜け顔を見せるのは柊赤緒さん(16歳)、このトーキョーアンヘルではこんなでも操主を務める逸材だ。彼女が操るのは《モリビト2号》、今は……えーっと……格納庫に……うん、ある。昨日 […]

JINKI 152 秘めたし想いを

 鳴動が重々しく響いて、メルJは面を上げる。  相手は《バーゴイル》の三機編隊――自分が勝てないような相手ではない。 『ヴァネット、あんまり先行し過ぎんな。オレと柊で対面に回るから、前の二機を足止めしてくれ』

JINKI 151 夢だけは捨てない

「……うん? 朝っぱらから何やってんのよ、あんたたち」  空を仰いで手を振っているエルニィとルイに対して、起き掛けの南は問いかけていた。 「何って、分かんない? 呼んでるんだよ」 「……何を? って言うか、呼ぶって……」 […]