JINKI 231 二人だけの島で

「それにしたってよ……流れ流れて、にしちゃあ、もっとやりようはあったんじゃねぇの?」

 ぼやいた両兵に対し、エルニィは《ブロッケントウジャ》の電算パーツを組み上げていた。

「文句言わないでよ。ボクだってこうなるなんて想定外だったんだからね。両兵、ブロッケンの足に工具あるでしょ? それ、出してもらえる?」

JINKI 230 交差する道も

 翻った黒い翼を、一機、また一機と撃墜していく。

 漆黒の機影は大地を踏みしだき、袖口に仕込んでいたワイヤー装備で空を舞う《バーゴイル》を叩き落としていた。

「逃がさ……ない!」


 アンカーが《バーゴイル》の飛翔を妨げ、引き寄せた刹那には抜刀している。

JINKI 229 覚悟を振るうということ

「お疲れ様、青葉さん。モリビトの整備はしておくから、今日はもう休むといいよ」

 川本の言葉に青葉は頷き、《モリビト2号》の最終点検を行う。

「いえ、でも一応……もうちょっと乗っておきたいかなぁ……って。迷惑ですかね?」

レイカル 48 8月 ウリカルと水刃の残暑見舞い

「それにしたって、どういう風の吹き回しなのかしらねー。水刃のジジィがこの時期に呼んでくるなんて」

 サイドカーに乗り込んだナナ子のぼやきに、小夜はうーんと呻っていた。

「そうねぇ……水刃様が私たちを改まって呼びたいなんて……何だか悪い予感がするわ」

JINKI 228 優しく頬に触れて

「もうっ、立花さんってば……また通販で買い物して……」

 段ボールだらけの居間を掃除しようとして、赤緒は掃除機を持ち出していた。

「買うんだったら最後まできっちりしないと。海外からの荷物も来るんだからなぁ……」

JINKI 225 可能性のひとしずく

「立花、この……“タコヤキ”とやらは何なんだ? 食えるものなのか?」

 出店で売られているたこ焼きへと視線を据えたままのメルJへと、エルニィは戸惑いながら応じていた。

「あ、そう言えばそっちにはたこ焼きの文化なかったっけ? えーっと……どう説明すればいいかなぁ? さつき、何か言ってあげなよ」

JINKI 223 アルマジロな御朱印

「おっ、さつきじゃねぇか。何やって……本当に何やってンだ? ここ、普段の買い出しに来ないコーナーじゃねぇか」

 両兵が問いかけると、買い物袋を提げたさつきは少し当惑したようであった。

「あっ、お兄ちゃん。……その、ちょっと用事があって」

「用事があってって言っても、ここはペットフードコーナーだが?」