レイカル 47 7月 カリクムと憂鬱な金曜日

「雨ばっかりで今年は憂鬱よねー」

 しとしとと降りしきる雨空を眺め、ため息をついたナナ子に小夜は少し同調できないでいた。

「……毎年のことでしょうに。それに、何だかんだで季節は巡るでしょ? もう七月なんだし、そろそろ……」

JINKI 219 いつかの自分に向けて

「採寸のために私に連れて行けって言うもんだから……」

 南は呆れ返って続くエルニィへと一瞥を向けていた。

「だってしょーがないじゃん。制服じゃ、勝負になんないし。それに、ここ一番で制服ってのもなんか違うでしょ」

レイカル 46 6月 ウリカルと父の日

「うん? いつになくそわそわしているじゃないか。何かあったのかい? ウリカル」

 声をかけた削里に対し、ウリカルは見つめていた雑誌を大慌てで閉じていた。

「い、いえ……っ、その……何でもございませんっ! 削里様……っ!」

JINKI 218 トーキョーアンヘルへようこそ

「あれ? 南さん。格納庫に用事ですか?」

 《モリビト2号》から降りてタラップを下る途中、こっちに居ることは珍しい南を目に留めて青葉は尋ねる。

「ああ、ちょっとね。ねぇー! もっと木材とかないのー?」

JINKI 217 紙飛行機に想い、添えて

「……えっと、夕飯の準備に移ってから、それから宿題もしないと……」

 学校から帰るなり柊神社の面々の献立も考えなければいけないので、赤緒は忙しなく廊下を行きかっていると、ふと足元で踏みつけた紙の感触に視線を落とす。

「うん? くしゃって、何か……これ、紙飛行機……?」

「あっ、赤緒。それ、私の」