レイカル 47 7月 カリクムと憂鬱な金曜日 「雨ばっかりで今年は憂鬱よねー」 しとしとと降りしきる雨空を眺め、ため息をついたナナ子に小夜は少し同調できないでいた。 「……毎年のことでしょうに。それに、何だかんだで季節は巡るでしょ? もう七月なんだし、そろそろ……」 ページ: 1 2 3
JINKI 222 譲れない理由ひとつ 「ようこそ立花博士、それに確かトーキョーアンヘルの責任者の……」 「黄坂南です」 相手が思い出す前に名乗った南は、全域展開している人機の編隊へと視線を向けていた。 ページ: 1 2 3
JINKI 221 マキちゃんの初恋 はぁ、とため息を一つついたマキに、赤緒は問いかける。 「どうしたの? マキちゃん。ちょっと元気ないね」 「あ、うん。赤緒……うーん、ちょっとねー」 ページ: 1 2 3
JINKI 220 操主として向き合うこと 機銃掃射を掻い潜り、赤緒は《モリビト2号》を後退させていた。 「柊! 敵は三機編成だ、こっちはブレード捌きで近接に入るぞ!」 「……はいっ!」 ページ: 1 2 3
JINKI 219 いつかの自分に向けて 「採寸のために私に連れて行けって言うもんだから……」 南は呆れ返って続くエルニィへと一瞥を向けていた。 「だってしょーがないじゃん。制服じゃ、勝負になんないし。それに、ここ一番で制服ってのもなんか違うでしょ」 ページ: 1 2 3
レイカル 46 6月 ウリカルと父の日 「うん? いつになくそわそわしているじゃないか。何かあったのかい? ウリカル」 声をかけた削里に対し、ウリカルは見つめていた雑誌を大慌てで閉じていた。 「い、いえ……っ、その……何でもございませんっ! 削里様……っ!」 ページ: 1 2 3
JINKI 218 トーキョーアンヘルへようこそ 「あれ? 南さん。格納庫に用事ですか?」 《モリビト2号》から降りてタラップを下る途中、こっちに居ることは珍しい南を目に留めて青葉は尋ねる。 「ああ、ちょっとね。ねぇー! もっと木材とかないのー?」 ページ: 1 2 3
JINKI 217 紙飛行機に想い、添えて 「……えっと、夕飯の準備に移ってから、それから宿題もしないと……」 学校から帰るなり柊神社の面々の献立も考えなければいけないので、赤緒は忙しなく廊下を行きかっていると、ふと足元で踏みつけた紙の感触に視線を落とす。 「うん? くしゃって、何か……これ、紙飛行機……?」 「あっ、赤緒。それ、私の」 ページ: 1 2 3
JINKI 216 凍てついた街より 教会で祈る相手には、まず挨拶が礼節とされる。 あるいは、沈黙による無言の肯定か。 その時にあったものは、しかし押し入った我が身への無礼さを恥じ入るような会釈であった。 ページ: 1 2 3