レイカル50 10月 小夜と秋風の季節に 「あれ? ナナ子、何してるのよ。これまで作ったレイカルたち用の服を集めたりして……」 ナナ子がキャリーケースいっぱいに服を並べ上げているのを目にして、小夜は疑問符を浮かべる。 「まぁ、なんて言うの? ちょうど気温とかもよくなってきたし、一回自分のこれまで作って来たのとかを纏めようかなって。ポートフォリオみたいなものかしらね」 ページ: 1 2 3
JINKI 237 もっと強さと願いを 弾薬切れはそれだけで戦闘状況を一変させかねない、と青葉は《モリビト雷号》のバックパックに補給物資を備え付けていた。 その分の重さで、平時よりも機体の反応は僅かに鈍い。 ページ: 1 2 3
JINKI 236 3,300円の夕食 「すっかり遅くなっちゃいましたねー」 日課の操縦訓練を終えたところで、赤緒は時計を気にかけていた。 既に夜の七時を回っており、夏が近づいて外は明るいが平時ならば夕食の頃合いである。 ページ: 1 2 3
JINKI 235 頼れる友に いつだって引き金を絞る際には、緊張が付き纏うものだ。 さつきは照準器の向こう側に佇むシミュレーターの仮想敵を見据え、何度か銃撃する。 「……一つ、二つ……」 自分でもリズムというものは取れて来たような気がするが、命中精度はまだまだ低い。 ページ: 1 2 3
JINKI 234 南の成人式 「おう、黄坂。いい酒入ったぜ。久しぶりにどうよ」 酒瓶を振って軒先へと向かってきた両兵に、湯飲みを覗き込んでいた南は呆れ返ったようであった。 その模様を赤緒は洗濯物を干しながら眺める。 ページ: 1 2 3
JINKI 233 いい操主であること 「青葉ー。ちょっとそこんところのシステムの洗い出しするから、一旦モリビトから降りてくんない? 操主ありだと、ちょっとややこしいんだよね」 エルニィの声を受け、青葉は下操主席のシートベルトを外していた。 「あ、うん……。けれど、やっぱり反応いいよね。せっかくここまで何とか直したんだもん。大事にしたいし」 ページ: 1 2 3
レイカル 49 9月 レイカルと衣替え 宵闇を駆け抜けるのは、何も慣れたものでもなく。 ただ、最初のほうよりかは少しだけこの戦闘にも掴めてきた――と、作木は小夜のバイクの後部に跨って声にする。 「レイカル! 敵は三体……! ダウンオリハルコンだ……!」 ページ: 1 2 3
JINKI 232 ヒミツの物語の続きを 「さつき、今日は自称天才の奢りで渋谷に行くわよ」 帰り支度を進めていると、ルイがそう急かして来たので、さつきは当惑する。 「る、ルイさんっ! 駄目ですよ、買い食いは校則違反で……」 ページ: 1 2 3
JINKI 231 二人だけの島で 「それにしたってよ……流れ流れて、にしちゃあ、もっとやりようはあったんじゃねぇの?」 ぼやいた両兵に対し、エルニィは《ブロッケントウジャ》の電算パーツを組み上げていた。 「文句言わないでよ。ボクだってこうなるなんて想定外だったんだからね。両兵、ブロッケンの足に工具あるでしょ? それ、出してもらえる?」 ページ: 1 2 3
JINKI 230 交差する道も 翻った黒い翼を、一機、また一機と撃墜していく。 漆黒の機影は大地を踏みしだき、袖口に仕込んでいたワイヤー装備で空を舞う《バーゴイル》を叩き落としていた。 「逃がさ……ない!」 アンカーが《バーゴイル》の飛翔を妨げ、引き寄せた刹那には抜刀している。 ページ: 1 2 3 4