レイカル50 10月 小夜と秋風の季節に

「あれ? ナナ子、何してるのよ。これまで作ったレイカルたち用の服を集めたりして……」

 ナナ子がキャリーケースいっぱいに服を並べ上げているのを目にして、小夜は疑問符を浮かべる。

「まぁ、なんて言うの? ちょうど気温とかもよくなってきたし、一回自分のこれまで作って来たのとかを纏めようかなって。ポートフォリオみたいなものかしらね」

JINKI 235 頼れる友に

 いつだって引き金を絞る際には、緊張が付き纏うものだ。

 さつきは照準器の向こう側に佇むシミュレーターの仮想敵を見据え、何度か銃撃する。

「……一つ、二つ……」

 自分でもリズムというものは取れて来たような気がするが、命中精度はまだまだ低い。

JINKI 233 いい操主であること

「青葉ー。ちょっとそこんところのシステムの洗い出しするから、一旦モリビトから降りてくんない? 操主ありだと、ちょっとややこしいんだよね」

 エルニィの声を受け、青葉は下操主席のシートベルトを外していた。

「あ、うん……。けれど、やっぱり反応いいよね。せっかくここまで何とか直したんだもん。大事にしたいし」

レイカル 49 9月 レイカルと衣替え

 宵闇を駆け抜けるのは、何も慣れたものでもなく。

 ただ、最初のほうよりかは少しだけこの戦闘にも掴めてきた――と、作木は小夜のバイクの後部に跨って声にする。

「レイカル! 敵は三体……! ダウンオリハルコンだ……!」

JINKI 231 二人だけの島で

「それにしたってよ……流れ流れて、にしちゃあ、もっとやりようはあったんじゃねぇの?」

 ぼやいた両兵に対し、エルニィは《ブロッケントウジャ》の電算パーツを組み上げていた。

「文句言わないでよ。ボクだってこうなるなんて想定外だったんだからね。両兵、ブロッケンの足に工具あるでしょ? それ、出してもらえる?」

JINKI 230 交差する道も

 翻った黒い翼を、一機、また一機と撃墜していく。

 漆黒の機影は大地を踏みしだき、袖口に仕込んでいたワイヤー装備で空を舞う《バーゴイル》を叩き落としていた。

「逃がさ……ない!」


 アンカーが《バーゴイル》の飛翔を妨げ、引き寄せた刹那には抜刀している。